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美しい行為に出合うとき♥ 

美しい行為に出合うとき♥ _e0274399_16192883.jpg

アルベンガ、花がいっぱい咲き、気持ちの良い季節となりました。川べりの道を散歩しているとき、カラフルな野生の草花に出合えると、植物たちも春のよろこびにあふれているようで、自然のしあわせエナジーを感じます。昨日、ふんわりとうれしい気持ちになることに出合ったので、金子 みすゞさんの詩「草原の夜」を思い出し、詩集より少し引用させていただきますね♪

草原の夜

ひるまは牛がそこにいて、
青草たべていたところ。

夜ふけて、
月のひかりがあるいている。

月のひかりのさわるとき、
草はすっすとまた伸びる。
あしたも御馳走してやろと。

ひるま子供がそこにいて、
お花をつんでいたところ。

夜ふけて、
天使がひとりあるいている。

天使の足のふむところ、
かわりの花がまたひらく、
あしたも子供にみせようと。

「草原の夜」を読むと、美しい行為が美しい行為を呼ぶということが信じられてうれしくなります。牛が青草を食べるのは、生きるためです。しかし、草原のほうから考えると、せっかくここまでのびたのに、「もう決してのびないぞ」と思ってもいいのです。それなのに、「草はすっすとまた伸びる。あしたも御馳走してやろうと。」と思うのです。それは、美しい月の光にさわられたからです。月の光は、「のびて、明日も牛に御馳走してやりなさい」とはいいません。ただ美しい光を青草に投げかけただけです。花だって同じです。子どもにつまれたくて咲いたのではありません。それなのにつまれてしまったのですから、「もう咲かない」と思ってもいいのです。それなのに、「かわりの花がまたひらく、あしたも子供に見せようと。」と思うのです。花がまた咲こうと思ったのは、天使の足にふれたからです。天使は、「明日も咲いて、子どもに、見せてやりなさい」とはいいません。ただ静かに歩いていただけなのです。青草も花も、月の光や天使に出合って、うれしいほうへ、やさしいほうへと心が動いたのです。美しい行為は美しい行為を呼ぶのです。

青草や花と同じく、私たちもまた、美しい行為に出合ったとき、うれしい気持ち、やさしい気持ちになれるのです。ここが人間のすばらしさです。そして、やさしい気持ちになったとき、人は行動したくなり、自分という存在が誰かの役に立っていることの喜びにも気づくことができるのです。
参考文献:「金子みすゞ詩集」(矢崎節夫・荻原昌好)

花のリヴィエラ便りに遊びに来てくださりありがとうございます056.gif


Photo by Roberto

by piccolo_fiore | 2012-05-16 16:39 | アルベンガ