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ボルジア家 ~The Borgias~

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(c) LB Television Productions Limited/Borgias Productions Inc./Borg Films kft
An Ireland/Canada/Hungary Co-Production. All Rights Reserved.

15世紀の終わりから16世紀にかけて、光と陰が共存するヨーロッパを強烈に描いたドラマについてご紹介いたします。「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」、史上最もスキャンダラスなローマ教皇アレクサンデル6世とその一族の愛と欲望を描いた歴史ドラマ。アカデミー賞に輝く名優J・アイアンズ主演。ローマ教皇、貴族の衣装の豪華さに目を奪われます。日本でもWOWOWで放映が始っているようです。イタリア中世時代にご興味のある方ご覧になってくださいね。
ほんとに強烈です・・・005.gif

ストーリー
猛烈な野心をもってローマ教皇の座を目指すスペイン出身のロドリーゴ・ボルジア枢機卿は、前代の教皇インノケンティウス8世が崩御した後、卑怯なやり方を使ってコンクラーベ(教皇選挙)を勝ち抜いて即位し、教皇アレクサンデル6世となった後も周囲を権力で支配しようとします。教皇でありながら美しい愛人を持ち、一族を使いあらゆる手段を使って教皇の座を守ろうとするアレクサンデル6世。大きく揺れていた中世時代の歴史的大河エンターティメントです。

中世のイタリアの背景
15世紀末、ヨーロッパでは小氷期と呼ばれる寒冷気候が一段と悪化し、人々は飢饉やペストなどの伝染病に苦しみ、国々は助け合うのではなく、戦争により争い、奪い合っていました。暖かい南にあり、都市文明が発達し、ルネッサンス文化が興隆に向かっていたイタリアも例外ではなく、ミラノ公国、ヴェネツィア、フィレンツェの両共和国、教皇国家、ナポリ王国の五大国が争っていました。死が身近にあるこの時代、宗教的指導者である教皇には、広く世界の人々に救いを与えることが期待されていたが、一方で教皇には、戦争さえ辞さない一国家の元首として有能な政治家であることも求められていました。その結果、教皇からは、宗教的指導者としてのカリスマ性が失われていたのです。

チェーザレ・ボルジア
息子のチェーザレ・ボルジアは、父親である教皇の権力を背景に、10年という短い期間でイタリア中部を権力下においた凄まじい人物です。マキアヴェッリの「君主論」の中で、理想的なリーダーとして挙げられていますが、冷酷非情なリーダーとして知られ、当時の人々から悪魔のように恐れられたチェーザレ・ボルジアです。マキアヴェッリは33歳の時、27歳のチェーザレに出会い、この青年君主が非常な勢いで上昇していく姿をつぶさに観察していたといいます。(参考:WOWOW
チェーザレ・ボルジアは冷酷、残忍だと思われていたが、その冷酷さによってロマーニャに秩序を形成して、平和と忠誠をもたらす事となった。(中 略)……愛情と恐怖を兼ね備えるのが最も理想的であるが、愛情は自らの利害によって簡単に破られるのに対して、恐怖は必ず降りかかる処罰の為に破られる事 は無い……(後略)— マキャヴェッリ 『君主論』 第17章

小説
昔も今も (サマセット・モーム)
ボルジア家の黄金の血 (フランソワーズ・サガン)
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (塩野七生)


by piccolo_fiore | 2012-05-18 12:00 | 歴史