須賀敦子 静かなる魂

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Claude Monet
Nella pagina a fianco, dall alto:Palazzo ducale a Venezia
New York, Brooklyn Museum



「きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」

須賀敦子はイタリアで、誰に出会い、どこを訪れ、何を考えたのか。映像と言葉でたどる、その希有な人生の軌跡について、紹介された愛蔵本の紹介動画です。

美しいバイオリンの音色が響くBGM、「私を泣かせてください」(伊語:Lascia Ch'io Pianga)は、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが作曲したオペラ「リナルド」のなかのアリア。劇中でエルサレムのイスラーム側の魔法使いの囚われの身になったアルミレーナが、敵軍の王アルガンテに求愛されても愛するリナルドへの貞節を守るため「苛酷な運命に涙を流しましょう」と歌うアリア、バイオリンの響きと映像が美しい。



それにしても、須賀さんの若き時代、その可愛らしいお姿に感動し、彼女の出会った人たちの言葉は感慨深いものがあります。須賀敦子さんの本との出会いは、イタリアとの出会いでもありました。10年前、須賀さんの本を愛読していたことが、少なからずもイタリアへ足を運ぶきっかけになったと思います。須賀敦子さんの紡ぐ文章は、繊細で美しく、詩的な描写、深い思想、信仰心、社会的弱者への優しいまなざしに溢れています。芸術、美術、建築、歴史の深い洞察力により、読者を須賀敦子ワールドへ誘い、翻訳者としてもすばらしく、彼女の作品はひときわ異彩を放っています。

須賀敦子さんは1953年、一人欧州へ旅立ち、60歳を過ぎて、静かで穏やかな文章でつづられた深い精神世界、幅広い教養と強靭な意志に満ちた作品の数々を遺し、1998年、ご逝去されました。残念です。天国でベッピーノさんと静かで穏やかな時間をお過ごしになられていることをお祈りします。


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by piccolo_fiore | 2012-06-09 00:00 |