梨木香歩さんの小説

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おいしい水を飲んだように爽やかな読後感に包まれる作品、「西の魔女が死んだ」。西の魔女と呼ばれる英国人のおばあちゃんと少女まいとの、 驚きと愛に溢れたかけがえのない時間。おいしいワイルドストロベリー・ジャムの作り方、ゆっくり眠れるおまじない、人は死んだらどうなるのか、そして、秘密のメッセージとは… "魔女修行"が教えてくれたたくさんのこと。おばあちゃんは、一番大事なことは「自分で決めること」「決めたことをやりとげること」だと言う。そして、おばあちゃんのミラクルな愛が届く、幸福感に包まれたラストに感動。大人になった今でも、西の魔女の言葉は、きれいな水のようにすっと心に沁み込み、おばあちゃんの温かな心に感動する。

おばあちゃんの言葉:

「そうね、何が幸せかっていうことは、その人によって違いますから。まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかなければなりませんね」

「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そしてだんだんに疑いの心や怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打つ勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地道な努力を続ける、退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分をみることになる。それの繰り返しです」

「草や木が光に向かって伸びていくように、魂は成長したがっているんです」


出版社からの内容紹介
「西の魔女」とは、中学生の少女・まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、田舎の祖母のところで生活することに。まいは、祖母の家系が魔女の血筋だと聞く。祖母のいう魔女とは、代々草木についての知識を受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人だと知る。まいは自分も魔女になりたいと願い、「魔女修行」を始める。この「魔女修行」とは、意志の力を強くし、何事も自分で決めること。そのための第一歩は規則正しい生活をするといった地味なものだった。野苺を摘んでジャムをつくったり、ハーブで草木の虫を除いたりと、身近な自然を感じながらの心地よい生活が始まる。次第にまいの心は癒されていく。魔女はいう。「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージをうけとるのだった……。

原作:梨木香歩 (kaho nashiki)
1959年鹿児島県生まれ。本作で、日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を受賞。主な作品に、「丹生都比売(におつひめ)」(95)、児童文学ファンタジー大賞受賞の「裏庭」(96)、「エンジェル エンジェル」(96)、「からくりからくさ」(99)、「りかさん」(99)、本屋大賞3位入賞の「家守綺譚」(04)、「村田エフェンディ滞土録」(07)、紫式部賞受賞の「沼地のある森を抜けて」(05)、「この庭に―黒いミンクの話」(06)、「春になったら苺を摘みに」(02)、「ぐるりのこと」(04)、「水辺にて―on the water/off the water」(06)、絵本「ペンキや」(02)、「蟹塚縁起」(03)、「マジョモリ」(03)、「ワニ」(04)などがある。





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by piccolo_fiore | 2012-07-03 06:10 |