レナードの菜園

今日は、スローライフに関わるようなイタリアのお話をさせていただきますね。2年前の初夏、オーガニックNGOにオーガニックレポーターの記事を書かせていただいたもの。少し気恥ずかしいのですが、みるものすべてが新鮮だった頃、イタリアの田舎暮らしを記録に残し、言葉の描写で伝えようと書き綴ったものです。スローライフのエッセンスみたいなものを少しお伝えできればと思います。


「レナードの菜園」 愛情込めて作られた夏野菜たち
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イタリアの夏野菜は、とびっきり美味しい。手間暇かけて作られたトマトは、でこぼこした形が愛らしい。夏の太陽を浴びてスクスクと元気に育った野菜たちは、みずみずしく自然の濃厚な味がする。

 レナードはとても優しく気さくな人。公園で会うたびに「うちの菜園へおいでよ!」と声をかけてくれる。毎年この季節になると、彼の菜園で収穫できるのは紫色の小粒なプルーン、オレンジ色のアンズ、さまざまな果実や夏野菜だ。果樹は、レモン、モモ、イチジク、ザクロ、小粒のマンダリンが季節ごとに実をつけ、野鳥たちを喜ばせる楽園となる。

 毎日丹念に手入れをしている菜園は、レナード夫妻の宝物。みずみずしい野菜が元気に育っている。自然農法のため、雑草も育ち、自然と虫もついてくるので菜園の世話は手間がかかる。彼らは自然のなかで過ごすことが好きで、毎朝新しい生命が育っているのが嬉しい、菜園をこよなく愛している。この情熱こそ、自然農法、菜園づくりのすべてだと思う。

 レナードの菜園を訪れると、いつも入口の手前から順を追って、「育ち盛りの野菜」をみせてくれる。まだまだ青いトマト、インゲン豆、ズッキーニ、ナス、ラチュガ(チシャ)といった葉もの野菜も豊富。薄いグリーンがかったファジョーリ(いんげん豆)の収穫シーズンになると実りが多く一度に摘みきれない。

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 小さなトマトの苗木はきちんと行儀良く、整然と並んである。サラダ菜の上に、目の細かいネットが掛けられている。つる状のズッキーニに格子枠が見事に組まれてある。すべて無農薬、無化学肥料、無除草剤で自然栽培されている。肥沃な土地は友人と共に地元の農家から堆肥を購入し、トラックで運んで貰ったとか。
 
 こんな風に手間暇かけて作られた野菜は新鮮で旬の季節の味がする。地元で採れる新鮮な食材を食べる喜び、旬の果実で保存食を作る楽しみを教えてくれたレナード夫妻に心から感謝したい。
 
 20年前、レナードは米国大手IT企業の早期退職制度を利用して48歳から年金暮らしを始めた。8つの時から40年間働いた。「ペンスィオーネ(年金暮らし)になったら、好きな魚釣りと菜園作りして暮らすと決めていたのさ!」と笑顔で語った。菜園を始めた頃、農業について何の知識も経験もなかったと言う。友人の手ほどきと熱心な探究心で学びながら今日に至る。以前、この美しい菜園はただの庭で、気が遠くなるような時間をかけて、理想の菜園は完成した。初めの頃、激しく雨が降りつけた日、菜園の盛土がすべて崩れ、畑が雨水に流されてしまったとか。その後、友人と協力し合って菜園の土台作りに根気強く取り組み、今の豊かな畑ができあがった。菜園の傍らにひとつの大地に深々と根っこを下した大木がある。まるでレナードみたいだ。

 仲睦まじいレナード夫妻はどこへ行くのも一緒だ。毎朝、7時に愛犬ビリーと散歩し、10時に菜園へ出掛ける。夕食後、いつもの公園でふたり肩並べて夕涼みをしている。学校が夏休みになるとミラノから孫たちが遊びに来る。9月から10月、サルディーニャ島の別荘でヴァカンスを過ごす。悠々自適の静かな年金暮らし。自然とともに安定した暮らしに至るまで、二人は数えきれないほどの困難を乗り越えてきたのだろう。神様からのギフトだ。今秋、まもなくレナードは70歳の誕生日を迎える。(by オーガニック協会)
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今年、菜園でレナード夫妻の姿をほとんどみかけず、「体調が優れないのかな?」とずっと心配でした。
8月に入り、お散歩中の夫妻に会って話を聞くと、老々介護の日々だったとか。レナードは手術を受けてから、2ヶ月間、発熱が続き一切外出できず、奥さまも体調が優れず、菜園の手入れは友人に任せたそう。レナードは少し痩せましたが、今はお元気そうです。日本と同様にイタリアも高齢社会を迎えています。
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by piccolo_fiore | 2012-09-07 00:00 | アルベンガ